日本輸血細胞治療学会誌
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ABO不適合生体腎移植における抗A/B抗体価自動分析法の可能性
松浦 秀哲杉浦 縁松野 貴洋頓宮 由芽白木 真理加藤 千秋石原 慶子深見 晴恵丹羽 玲子林 恵美松下 正加藤 栄史渡井 至彦伊藤 泰平剣持 敬藤井 紀恵三浦 康生
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2022 年 68 巻 3 号 p. 449-456

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抄録

ABO不適合生体腎移植(ABOi-LKT)において抗A/B抗体価を測定することは治療選択および予後評価に有用である.抗A/B抗体価の測定は試験管法(TT)で行われるが,測定者間差や施設間差が問題とされている.カラム遠心凝集法による抗体価自動分析法(auto-CAT)は試験管法の欠点を補う方法として期待されている.我々は,ABOi-LKT症例を対象に,auto-CATとTTを用いて抗A/B抗体価を測定し,auto-CATの有用性を多施設共同研究で検討した.共同研究4施設でABOi-LKT35症例,合計111サンプルの測定を行った.2法の相関係数は0.9以上であり,一致率および臨床的許容一致率は60.4%,88.3%であった.Auto-CATは,周術期の治療などの影響を受けず,IgG抗体価は時系列変化でみるとTTとauto-CATで平行して変化していた.Auto-CATはIgG抗A/B抗体価測定においてTTと同等であり,ABOi-LKT症例の抗A/B抗体価測定に適している.

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© 2022 日本輸血・細胞治療学会
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