日本輸血学会雑誌
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新しい全自動型血液成分分離装置 Baxter Amicus®による末梢血幹細胞採取
COBE Spectra®との比較K試験
奥山 美樹原口 京子中川 美子佐久間 香枝石井 加世高橋 直美安部 久美子高木 朋子武田 敏雄國友 由紀子山本 恵美小澤 直宏比留間 潔
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2006 年 52 巻 3 号 p. 397-404

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抄録

本研究では, 新しく開発された全自動型血液成分分離装置 Baxter Amicus の末梢血幹細胞採取機能を評価するために, COBE Spectra の手動プログラムと比較した. 連続した自己末梢血幹細胞移植患者を対象に Amicus 群と Spectra 群に交互に振り分け, CD34陽性細胞回収率や採取物の特徴を比較検討した.
最初の比較試験では, Amicus の設定をデフォルトのまま, すなわちMNCオフセットを2.3ml, 処理血液量は1,400ml×7cyclesで行った. 症例数は各群それぞれ5例, 採取回数は Amicus 群7回, Spectra 群9回であった. CD34陽性細胞回収率は Amicus 群で33.20±12.23%, Spectra 群で54.51±12.07%と後者で有意に良好であった. 血小板の混入量は Amicus 群で4.57±1.93×1010/bag, Spectra 群で17.71±15.55×1010/bagと前者で有意に少なかった.
次に Amicus のCD34陽性細胞回収率を向上する目的でMNCオフセットを2.1ml, 血液処理量を1.800ml×5cycles に変更し, 同様の比較試験を行った. 症例数は各群それぞれ5例, 採取回数は Amicus 群7回, Spectra 群7回であった. CD34陽性細胞回収率は23.09±11.53%, Spectra 群で50.66±15.15%と後者で有意に良好であり, Amicus のCD34陽性細胞回収率を向上することはできなかった.
Amicus は自動型の利点があるものの, CD34陽性細胞回収率が Spectra 手動プログラムより劣っていると考えられたが, 回収率の差をより明確にするために, 症例数を増やして更なる検討の必要性があるものと思われた.

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