日本輸血学会雑誌
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IgM型HLAクラスI抗体の血小板輸血不応状態への関与
PTR患者における免疫グロブリンクラス別HLA抗体陽性率
斉藤 敏玉井 豊広太田 正穂大田 智小松 政義平林 盛人玉木 啓子瀬下 秀幸清水 寿浅村 英樹福島 弘文野村 節夫
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2006 年 52 巻 3 号 p. 405-413

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抄録

HLAクラスI抗体が血小板輸血不応状態 (platelet transfusion refractoriness: PTR) に関与することについては数多くの報告があるが, IgM型のHLAクラスI抗体 (IgM-HLA抗体) のPTRへの関与についての報告はほとんどない. そこで, PTR患者121人の凍結保存血清のHLA抗体スクリーニングを, 磁性粒子を用いた Mixed passive hemagglutination assay (M-MPHA) 法, Flow cytometric reagents for detection of panel-reactive antibody against HLA Class I antigens (FlowPRA) 法, Anti-human immunoglobulin lymphocyte cytotoxity test (AHG-LCT) 法により行い, IgM-HLA抗体のPTRへの関与については, 輸血24時間後の補正血小板増加数 (CCI24hours) による血小板輸血効果から推測した. その結果, M-MPHA法により121症例中48症例からIgM-HLA抗体が検出された. 一方, FlowPRA法により検出できたIgM-HLA抗体は, それら48例中35例, AHG-LCT法では20例のみであった. 血小板輸血効果は, IgM-HLA抗体を保有する, 48症例中7症例74輸血において判定できた. IgM-HLA抗体の特異性に対応する抗原を持たない輸血では, CCI24hoursが19.7±4.7(×109/L) を示し輸血効果を得ることができたが, 対応する抗原を持つ輸血では, CCI24hoursが2.0±19(×109/L) を示し輸血効果を得られなかった. PTR患者に高頻度に存在するIgM-HLA抗体は, PTRの原因になると考えられ, その半数以上はAHG-LCT法により検出できなかった. M-MPHAをHLA抗体スクリーニング, 血小板輸血の際の交差試験に用いることで, PTR症例の原因解析と輸血効果の向上に貢献できる可能性がある.

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© 日本輸血・細胞治療学会
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