日本輸血細胞治療学会誌
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全国国立大学附属病院における輸血副作用調査体制
輸血副作用の原因製剤回収・保管についての調査報告
下平 滋隆藤井 康彦桝屋 正浩大塚 節子尾崎 修治松井 良樹岩谷 ユリ子能登谷 武渡邊 博文高松 純樹
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2006 年 52 巻 6 号 p. 711-716

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抄録

国立大学 (法人) 附属病院における副作用調査体制を明らかにするために, 平成16年度の状況についてアンケート調査を行ったので報告する. アンケート回収率は98% (43/44) であった. 輸血を行った全製剤について副作用の有無を確認する大学が47% (20/43) あった. 輸血前患者検体の保管は全ての施設で実施されていたが, 未開封検体を保管している大学は2施設のみであった. 疑いも含め副作用が発生時における原因製剤の回収は, 88%の大学で可能であった. 細菌感染症が疑われる場合の血液製剤および患者血液培養の実施は半数であった. 日赤血液センターへの調査依頼の基準は, 診療科からの依頼, 副作用の重症度, 輸血感染症が挙げられた.
これらの調査結果より, 副作用の正確な発生状況の確認のためには, 輸血療法委員会による原因製剤の回収を含めた輸血副作用調査体制の整備とともに, 原因究明のための検査, 副作用の治療, 副作用発生後の血液製剤の選択に関する輸血部専任医師によるコンサルテーションの実施が重要であると考えられた.

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