抄録
イットリア安定化ジルコニアは熱物性に関する標準物質候補材料として研究が進められている。本研究では、ファインセラミックス共通試料であるリファセラムZR1(ジルコニア)を用い、標準物質材料として使用する際に重要となる高温安定性の評価を行った。高温安定性は、200~ 1500℃の温度で熱処理を行ったときの、熱処理前後の熱拡散率の変化より評価した。900℃以下の熱処理では熱拡散率に変化がほとんど見られなかったが、1000℃以上で熱処理すると、結晶相の変化や相分離および粒界に発生した亀裂などによって熱拡散率に変化が生じることが明らかになった。これらの結果より、リファセラムZR1 は900℃以下であれば安定であり、標準物質として適用できると判断された。