抄録
適切な表現基底のもとでの画像のスパースさに注目し,スパースさを活用することで磁気共鳴画像法(MRI)の高性能化を図る研究が注目されている.基礎となるのは圧縮センシングという数理的な枠組みであり,連立一次方程式の解のスパースさを仮定して,方程式が不定であっても解くことを可能とする.MRIにおけるスパースさを利用した画像再構成は,データ取得と画像再構成とを分離して取り扱うという医用画像工学分野の技術革新の一事例とみなすことができる.MRIの文脈で同様の考え方をさらに押し進めたアプローチとして磁気共鳴指紋検査法があり,圧縮センシングと組み合わせてさらなる高性能化を図る研究も行われている.