2017 年 31 巻 2 号 p. 72-80
本研究では,空間分解計測(RSPM)を利用した,非侵襲による人の皮膚の光物性計測装置の開発を行っている.RSPMは短時間で広い波長域の光物性を計測できる優れた方法であるが,計測精度が装置の光学系の性能に依存する.ここでは,光学設計ソフトZemaxを用いて,光学系の性能評価を行うと同時に,モンテカルロ法を用いた数値解析により計測に生じうる誤差を評価した.これを通じて,計測装置の正確度を明確化すると共に,光学系の性能に起因する誤差を抑えた(−0.4%)装置を開発した.さらに,この装置を用いて,皮膚の水分量の変化に伴う光物性のわずかな変化を捉えられることを示した.