2017 年 31 巻 2 号 p. 89-96
著者らの研究室で開発してきた物質輸送センシング技術であるソーレー強制レイリー散乱(SFRS)法を3成分系のソーレー係数・熱拡散係数測定法へと発展させるため,試料の屈折率の波長依存性を利用する2波長検出技術を適用した場合の測定理論と,これに基づく新たな測定装置を提示した.この装置を用いて,ベンチマーク値と呼ばれる参照値が存在する系の測定を行い,測定手法の妥当性を確認した後に,工学的に重要な系である3成分ポリマー溶液系(cellulose acetate butyrate/styrene/2-butanone)の測定を試み,3成分ポリマー溶液系について初めてとなるソーレー係数・熱拡散係数の測定例を示した.