熱物性
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フラッシュ法による熱拡散率測定におけるリング状加熱とヒートスプレッドの影響
細野 和也西 剛史太田 弘道
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2018 年 32 巻 2 号 p. 70-79

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抄録

フラッシュ法による試料の熱拡散率測定は,通常,試料全面を照射して一次元熱伝導が近似出来る条件で行う.しかし薄い試料をリング状加熱光で加熱して径方向の熱伝導を生じさせて熱拡散率を測定する手法や,加熱光径より大きい試料を測定する場合には試料周辺部の非照射領域への径方向熱伝導が生じ,二次元熱伝導解析を行う必要がある.本稿では高温で重要となる熱放射の影響を考慮した解析を行った.軸対称座標における熱伝導方程式を用いてラプラス空間における軸対称試料温度式を導き,同式を用いて厚さ方向・径方向熱流束下における試料熱拡散率の最小二乗法による解析法を開発した.解析法は,解析対象となる熱拡散率とビオ数を独立変数として二乗偏差の最小値を探索する解析法(直接法)と試料裏面温度低下領域における減衰時定数の測定値と理論式を等しいとする付加条件のもとに二乗偏差最小値を探索する解析法(時定数法)の2つであり,いずれも試料の熱拡散率が求められることを確認した.

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© 2018 日本熱物性学会
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