熱物性
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準定常法による熱伝導率測定法の研究
酒井 啓太大串 哲朗
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2019 年 33 巻 3 号 p. 107-116

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抄録

一方向熱流定常比較法(定常法)による熱伝導率測定は,温度が定常状態になるまで約4000sかかり,また熱伝導率の温度依存性を得るためには数回の試験が必要である.一方で,準定常一方向熱流比較法(準定常法)では,過渡状態で熱伝導率を測定できるため,測定時間を大幅に短縮でき,また,試験片温度が連続的に変化することを利用して,1回の測定で熱伝導率の温度依存性が得られる.本研究では,準定常法の実用に向けた,熱コンダクタンスの大きいアルミニウム試験片,熱コンダクタンスの小さい樹脂試験片における準定常法の測定精度,測定可能時間に関して実験,数値解析による基礎検証を行った.その結果,アルミニウム試験片においては約100s,樹脂試験片においては約1000sから測定精度10%以内に収まり,定常法に比べ約1/4~1/40の測定時間短縮が可能であることを明らかにした.

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© 2019 日本熱物性学会
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