日本獣医麻酔外科学雑誌
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原著
犬における神経刺激装置を用いた傍脊椎ブロック時の薬液伸展様式と効果範囲の検討
飯塚 智也長尾 拓真鎌田 正利長久保 大牟田 佳那子西村 亮平
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2016 年 47 巻 4 号 p. 65-72

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抄録
本研究では神経刺激装置を用いた傍脊椎ブロック時の薬液伸展様式とその効果範囲を犬で検討した。供試犬には健康なビーグル犬6頭を用いた。イソフルランで麻酔導入後、第11、12および13胸部脊髄神経レベルで傍脊椎ブロックを実施した。神経刺激装置を用いて針先の位置を確認した後に造影剤、ブピバカイン、生理食塩液の混合液を1箇所につき3 mlずつ注入し、CT撮影を実施した。その後、臍の傍正中(臍部)、臍部の外側、臍部の最外側、臍部の頭側、臍部の尾側およびコントロール(反対側の臍部)を電気刺激して脈拍数および平均動脈圧の変化を観察した。傍脊椎腔への薬液の分布は36穿刺中33穿刺(91.6%)で認められた。薬液伸展範囲の中央値(範囲)は4(3-5)椎体であった。脈拍数および平均動脈圧の変化は刺激部位によって異なり、臍部はコントロールと比べて有意に脈拍数および平均動脈圧の上昇が少なかった。12頭中10頭(83.3%)で胸膜穿刺が認められたが胸腔内に漏出した薬液量はいずれも少量であり、いずれも臨床症状を認めることはなかった。本研究の結果より、犬において神経刺激装置を用いた傍脊椎ブロックを第11-13胸部脊髄神経レベルで実施した場合、高い確率で薬液が傍脊椎腔に分布し、臍部を中心にブロック効果が認められると考えられた。
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© 2016 一般社団法人日本獣医麻酔外科学会
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