日本家畜臨床学会誌
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症例報告
黒毛和種子牛にみられた軟骨異形成性矮小体躯症の1例
北橋 恵実吉村 麻希子小池 正充高島 恵輔菊池 元宏渡辺 大作小山田 敏文大浪 洋二
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2008 年 31 巻 1 号 p. 18-23

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抄録
四肢の著しい短小化、水頭症様の頭部形状と歩行異常を呈した矮小体躯症の黒毛和種雌牛を5日齢より約6ヶ月間飼育し、発育状況を観察するとともに血液生化学検査、内分泌検査および疫学的検査を実施した。5日齢時の体重は25 kg、 体高は50 cm、 体長は52 cmと著しい低体高であり、 X線検査で長骨骨端板の不明瞭化と膝関節の関節腔の拡大が認められ、CT検査では大腿骨頭と寛骨臼の離開がみられた。その後の発育は不良で、5ヵ月齢時の体重は45 kgで、 その後起立不能となり、 196日齢で死亡した。 本症例では褐毛和種牛の矮小体躯症の原因遺伝子は正常ホモ型であった。内分泌検査では血漿成長ホルモン濃度の高値、インスリン様成長因子-1濃度の低値、甲状腺ホルモン(T3, T4) 濃度の低下がみられた。病理検査では骨端板の軟骨異形成がみられ、 甲状腺ではコロイド濾胞の大小不同と濾胞上皮のコロイド内への剥離脱落がみられた。症例は軟骨異形成性矮小体躯症と診断したが、原因の解明には至らなかった。
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© 2008 日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
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