東北家畜臨床研究会誌
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牛ハイエナ病の血漿ビタミンA、D、E濃度
高木 久藤田 茂佐藤 れえ子岡田 幸助内藤 善久
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1993 年 16 巻 1 号 p. 22-28

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抄録
1991年3月、岩手県の肥育農家3戸(A、B、C)にハイエナ病の発生が12~15ヵ月齢の10頭(No.1-10)の肥育牛にみられた。A、Bの農家の9頭はいずれも生後1ヵ月齢以内にビタミンAD3E剤が過剰に経口投与されていた。C農家の1頭については不明であった。
臨床所見では、後躯の顕著な発育遅延、背線の下降および歩様異常が認められた。血液所見では、血漿25OHD濃度が異常な低値を示し、発症牛はビタミンDの欠乏状態にあることが示唆された。血漿1,25(OH)2D濃度はNo.1が高値を示した以外正常値を示した。また、血漿レチノール濃度も正常値かそれ以下の低値であった。他の血液検査項目には概して著変は認められなかった。また、No.2の病理学的検査では、大腿骨、下腿骨および上腕骨の長軸の短縮が顕著であり、病理組織所見では、大腿骨、下腿骨、上腕骨および椎骨の骨端軟骨板は部分的な消失あるいは変形が認められた。
以上から、生後まもない子牛へのビタミンAおよびビタミンDの過剰添加が直接的に、またそめ後の血中25OHD濃度の異常な低値が間接的にハイエナ病に関係している可能性が示唆された。
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© 日本家畜臨床学会
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