抄録
黒毛和種牛における母乳成分と子牛の消化不良性下痢症の関連性を解明するための試験に先立って、臨床的に健康な黒毛和種繁殖牛71頭の乳成分測定を行った。無処置群60頭の乳成分は、乳脂肪:3.74%、乳蛋白質:3.49%、無脂固形分:9.36%、乳糖:4.81%であった。オキシトシン20単位処置群11頭の乳成分は、乳脂肪:5.10%、乳蛋白質:3.48%、無脂固形分:9.44%、乳糖:4.89%であった。乳成分のうち、乳蛋白質、無脂固形分、乳糖ではほぼ一定の値が得られたが、乳脂肪では個体ごとに著しい変動が認められた。また、乳脂肪率については、ミクロヘマトクリット管を用いた高速遠心法によって測定を行ったところ、ミルコスキャン605の値と正の相関が得られた。以上のことからオキシトシン投与による採乳は黒牛和種牛の乳成分測定に適当と思われた。