東北家畜臨床研究会誌
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蹄底潰瘍,蹄球びらんおよび趾間フレグモーネの乳牛における血液生化学的検査所見
佐藤 繁河野 充彦横尾 圭一村山 勇雄
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キーワード: アンモニア, 乳酸, 蹄病, 乳牛
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2000 年 23 巻 1 号 p. 11-16

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抄録
蹄病の乳牛におけるルーメンコンデイションと栄養代謝状態を明らかにする目的で、正常牛(37例)、蹄底潰瘍牛(51例)、蹄球びらん牛(10例)および趾間フレグモーネ牛(13例)において血中アンモニア(NH3)と乳酸(LA)濃度のほか、いくつかの血液生化学的検査を実施した。その結果、血中NH3濃度は蹄球びらん牛で、血中LA濃度は蹄底潰瘍牛と蹄球びらん牛で、いずれも正常牛に比べわずかに高値を示したが有意な差異はみられなかった。また、蹄底潰瘍牛では泌乳後期に血中NH3およびLA濃度が正常牛に比べ高値を示す傾向が認められた。各蹄病牛では正常牛に比べ血清総タンパク濃度が高値を、また、蹄底潰瘍牛や蹄球びらん牛では正常牛に比べ血清総コレステロール、アルブミンおよびカルシウム濃度が低値を示す傾向が認められた。これらのことから、蹄病牛のルーメンコンデイションは正常牛に比べ差異がみられなかったが、蹄底潰瘍牛や蹄球びらん牛では、正常牛に比べ飼料からのエネルギーやタンパク摂取量が不足しており、また、カルシウム代謝にも問題のあることが示唆された。
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