日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-16
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ポスター発表
調理した成熟カボチャにおける貯蔵細胞の糊化デンプンと甘味
*阿部 真弓大友 佳織冨岡 佳奈絵鈴木 惇
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抄録

 収穫時期から月日が経って成熟したカボチャにおけるデンプン貯蔵細胞とデンプン粒および加熱の違いによるデンプンの性状と甘味の差異を組織化学的方法により調べた。
 材料は市販の西洋カボチャを9月および12月に購入した。9月購入の材料を茹でた。12月に購入の材料は、茹でたものと蒸したものを用いた。加熱時間は40分間であった。生と加熱した材料を急速に凍結し、コールドミクロトームで薄切した。切片を過ヨウ素酸・シッフ液およびヨウ素液で染めた。茹でたカボチャと蒸したカボチャの味を比較した。
 成熟カボチャにおけるデンプン粒は、未成熟カボチャのデンプン粒より少なかった。加熱した未成熟カボチャのデンプン貯蔵細胞の多くは、糊化したデンプンで一様に埋められた。加熱した成熟カボチャのデンプン貯蔵細胞は、糊化したデンプンで一様に埋められることはなく、細胞内に糊化したデンプンが様々な形状をした小さな塊となって存在していた。未成熟カボチャの貯蔵細胞は、ヨウ素染色により青く染まった長鎖のデンプンのみを有していた。成熟カボチャの貯蔵細胞は、ヨウ素染色により青く染まった長鎖のデンプンと糖質分解酵素によって生じた赤色から褐色に染まった短鎖のデンプンが存在していた。茹でた成熟カボチャでは、貯蔵細胞間に貯蔵細胞から出たデンプンが多くみられたが、蒸した成熟カボチャでは稀であった。茹でたカボチャは甘くなかったが、蒸したカボチャは甘かった。貯蔵細胞からデンプンの流出が稀な蒸したカボチャは、貯蔵細胞および組織内に糖化によって生じたグルコースやショ糖が留まっていたために、甘味を与えたと考える。

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