日本家畜臨床学会誌
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乳牛の潜在性ケトーシスにおけるβヒドロキシ酪酸と血糖、遊離脂肪酸およびASTとの関係
佐藤 繁河野 充彦小野 秀弥
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2005 年 28 巻 1 号 p. 7-13

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抄録
乳牛の潜在性ケトーシスは分娩後の負のエネンルギーバランス(NEB)、臨床型ケトーシスや第四胃変位の発生と関連があるが、潜在性ケトーシスの発生状況や発生要因、ケトン体以外の血中成分については不明な点が多い。乳牛の潜在性ケトーシスの病態を明らかにする目的で、潜在性ケトーシス牛(52頭)、臨床型ケトーシス牛(23頭)および対照牛(75頭)の血中成分を比較検討した。潜在性ケトーシス牛では対照牛に比べて血糖(GLU)が低値、βヒドロキシ酪酸(BHB)、遊離脂肪酸(NEFA)、トリグリセライド(TG)、βリポタンパク、総タンパク、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびγグルタミルトランスペプチダーゼが高値を、また、臨床型ケトーシス牛に比べてGLU、HDLコレステロール、総コレステロールおよびリン脂質が高値、BHB、NEFA、TGおよびASTが低値を示した。さらに、潜在性ケトーシス牛ではBHBとNEFA、BHBやNEFAとASTとの間に正の相関、BHBとGLU、GLUとASTとの間に負の相関が認められた。これらのことから、潜在性ケトーシスはNEBと密接な関連があり、潜在性ケトーシス牛は対照牛に比べてNEBに起因した体脂肪動員や肝機能低下の程度が重度で、臨床型ケトーシス牛に比べてNEBの程度や持続時間および肝機能低下が軽度であることが示唆された。
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