日本家畜臨床学会誌
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頚椎癒合により著しい頚部の短縮を認めたホルスタイン種の一例
小川 仁安藤 貴朗大塚 浩通朴 天鎬吉岡 一機猿山 由美山田 裕磯 日出夫小山田 敏文渡辺 大作
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2007 年 30 巻 1 号 p. 16-20

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抄録
先天的に著しい頚部の短縮を呈した11ヶ月齢のホルスタイン種雌牛において、臨床症状の観察、頚部X線検査、脊髄造影検査、剖検および病理組織学的検査を行った。また、骨格標本を作製し、椎骨の異常について分析した。本症例の発育はほぼ正常であり、神経症状は認められなかった。頚部X線検査では、頚椎の著しい背湾が確認され、頚椎後部の癒合が疑われた。脊髄造影検査では、脊髄が湾曲して走行しており、狭窄部位がないことが確認された。病理学的検査では、頚部背側の筋の筋線維の一部における萎縮、硝子様変性および水腫が認められた。一方、頚部脊髄に異常は認められなかった。骨格標本では、頚椎および胸椎前部の変形、癒合、形成不全が確認された。本症例は先天異常の器官系統別分類において椎骨異常に分類されると考えられ、脊柱背湾症、脊柱側湾症および椎骨癒合が合併して発症したと考えられる。その原因は不明であるが、椎骨の癒合、形成不全がみられることから、胎生初期の脊椎分節に何らかの形成障害があったことが示唆された。
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