抄録
12歳,去勢雄の雑種猫が嘔吐・元気消失で来院した。来院5か月前に良性の皮膚肥満細胞腫と診断されていたが,来院時には全身の皮膚に大小の肥満細胞腫が多発し,肥満細胞血症を伴っていた。超音波画像診断では脾臓・肝臓に著変は認められなかったものの,針生検では多数の腫瘍性肥満細胞を認め,赤血球貪食像も頻繁に見られた。以上の所見より内蔵型肥満細胞腫と診断し,ファモチジンおよびプレドニゾロンにより治療を行った。症状は一時的に軽快したが貧血が進行し,末梢血中の腫瘍細胞の赤血球および血小板貪食像が認められるようになり,第26病日に死亡した。