獣医臨床皮膚科
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原著
炎症性皮膚疾患の猫から採取した生検皮膚の評価における肥満細胞数の有用性
Maturawan TunhikornDanny W. ScottHollis N. Erb
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2015 年 21 巻 2 号 p. 63-69

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抄録
猫の生検皮膚中に多数の肥満細胞がみられた場合,アレルギー性皮膚炎に矛盾しない所見であるとしばしば述べられている。今回,著者らはアレルギー性皮膚炎(143例)と非アレルギー性炎症性皮膚疾患(228例)に罹患した猫から採取され,ヘマトキシリン&エオジン(H&E)染色を施した皮膚生検標本を用いた後向き研究を実施した。本研究に用いた検体の全ては,1978年から2010年までの間にコーネル大学獣医学部解剖病理学部門に送付されたものであった。アレルギー性皮膚炎の猫と非アレルギー性炎症性皮膚疾患の猫との間で,真皮における肥満細胞数には有意差が認められなかった。またアレルギー性皮膚炎または非アレルギー性炎症性皮膚疾患のいずれに罹患した猫でも,肥満細胞数に関しては真皮浅層における数の方が,真皮深層における数よりも高値を示した。健常猫(31例)で調査したところ,真皮浅層における肥満細胞数は,トルイジンブルー染色を施した標本における数の方が,H&E染色を施した標本における数よりも高値を示した。
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© 2015 日本獣医皮膚科学会
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