抄録
特発性皮膚薬物有害反応(ACDR)が疑われた29例の猫に関する後ろ向き研究が行われた。ACDRは過去15年間に皮膚科診療施設を受診した猫の2%をしめた。好発品種,性差あるいはレトロウイルス感染との特別な関連は認められなかった。皮膚の反応パターンのうち最も多かったものは接触皮膚炎,接触性外耳炎,アレルギーに類似したかゆみ,および血管炎であった。原因薬物として最も多かったものはクラブラン酸アモキシシリンおよびクロルヘキシジン含有洗浄液であった。25例の猫では薬物の中止により2~6週後に,4例では12週後に症状の改善が認められた。2例の猫ではセフォベシン投与に関連した壊死性血管炎が認められ,治療には抗炎症療法が必要であった。