2024 年 30 巻 2 号 p. 73-78
既存の治療で改善のない犬アトピー性皮膚炎の症例に対して,免疫調整能や抗炎症作用を期待し,国内で初めて同種脂肪由来間葉系幹細胞(Ad-MSCs)による治療を行なった。その結果,1ヶ月程度で症状の改善がみられ,観察期間である約8ヶ月間にわたり,プレドニゾロンおよびシクロスポリンを症状の悪化を認めることなく治療開始時の半量以下に減薬できた。なお,観察期間中に有害事象はみられなかった。Ad-MSCsは難治性犬アトピー性皮膚炎に対する治療手段として,安全かつ有用な選択肢となる可能性が示唆された。