2007 年 12 巻 1 号 p. 77-80
市立大町山岳博物館で1985年に原因不明で死亡し,2005年まで冷凍保存されていた飼育ニホンライチョウ1羽の死亡原因を検索した。嘴の蝋膜に結節状病変を認め,禽痘ウイルス(APV)感染が疑われた。蝋膜病変部組織,肺および肝臓からPCRによりAPV特異的4b core遺伝子が検出された。増幅産物の塩基配列は,鶏痘ウイルス(FWPV)と100%一致した。FWPV病原株に特異的な細網内皮症ウイルスの配列も検出され,このライチョウがFWPV病原株の感染により死亡したことが推察された。