2013 年 18 巻 2 号 p. 49-51
傷病野生動物取扱いにおける感染リスク管理は重要である。しかしながら,取扱いにおける手指の汚染の実態は分かっていない。今回,傷病鳥類を取扱い時の手指の汚染状態を把握する目的で,青森県鳥獣保護センターに収容された傷病鳥類17種46羽の診察における手指の汚染状態をATPふき取り検査を用い調査した。調査の結果,手指の汚染は,診察によりATP値が1.6±1.0×102RLU から 2.1±2.0×104RLUに増加し,特に外傷や起立困難の鳥(2.9±1.6×104RLU)では外傷がみられない鳥(5.0±2.8×103RLU)より高い値を呈した。また,種の生態によっても汚染度に違いがみられた。基本的な衛生管理ではあるが,手袋の着用と,取扱い後の手指の洗浄は感染リスクを軽減するうえで重要である。