日本野生動物医学会誌
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原著
ブラジルにおけるクビワペッカリーの人工繁殖
ピンヘイロ マルセロ・ホセ・ペドロサ佐方 啓介佐方 あけみ牧田 登之
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1997 年 2 巻 2 号 p. 113-116

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抄録

野生動物の減少を防ぎ, 畜産的に飼育繁殖をはかる目的で, クビワペッカリー(学名:Tayassu tajacu, 現地名Catetuカテトウ)の飼育をはじめた。雄1頭雌2頭を一組として, 3組を1群とする。野生の3群と, 自家繁殖による3群を, 10m×12mの区画に1群ずついれ, 飼料(ペレット), メロンなどの果物, イモなどの根菜, を給餌する。各群内で雌は共有されるが, 他群の雌を混ぜると侵入者とみなし殺す。雄が死んだ場合は群内の雌を総入替えする。性周期が約24日で, 発情期は約4日間である。通年発情を示す。妊娠期間は142〜149日で, 通常1頭を出産するが2頭のこともある。出産時には産場に雌を移す必要がある。出産後2〜3時間で子供は歩ける。1日位母親についているが, 4〜5日で親からはなして育てる。泌乳期は6〜8週間で, 子供は背後から乳頭に吸いつく。乳質は低脂肪である。野生群, 自家生産群との境界における両群の成体の行動のパターンを目下観察中である。

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© 1997 日本野生動物医学会
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