2018 年 23 巻 2 号 p. 39-44
イトラコナゾール経口及びアムホテリシンB吸入による投薬治療で救命できなかったクイーンズランドコアラ(Phascolarctos cinereus adustus)のCryptococcus gattii(以下C. gattii)感染例を報告する。C. gattiiによる感染は, 鼻外側部腫脹, 鼻孔丘疹が認められた上顎部に限局的であったが,肝臓,肺,尿生殖洞,腰部脊柱管,腸腰筋にPseudomonas aeruginosa及びKlebsiella pneumoniaによる感染が認められ, 本症例が保有していたコアラレトロウイルスに基づく免疫抑制がC. gattii及び上記細菌の複合感染に関与していることが示唆された。