日本野生動物医学会誌
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原著論文
気象要因がスラウェシバビルサ(Babyrousa celebensis)の営巣行動発現に及ぼす影響
伊東 政明MACDONALD Alastair A.LEUS KristinBALIK I WayanARIMBAWA I Wayan Gede Bandem
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2019 年 24 巻 2 号 p. 73-84

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抄録

 スラウェシバビルサの営巣行動発現に及ぼす環境刺激の影響を調査した。2006年8月から2010年3月までの1339日間にインドネシアの比較的大規模な屋外飼育施設において記録されたバビルサの造巣及び巣の再利用行動と気象データの関係を分析した結果、その行動は乾季に高頻度に発現され、外気温の低下や風速の上昇の影響を受けることが判明した。また、夕方の体感温度の低下に伴うその行動発現率の増加傾向が認められた。季節を問わず、午前5時から午後5時までの12時間の体感温度の変化量が大きくなるほど、行動発現率の増加傾向もみられた。24時間降水量は営巣行動発現に抑制的であった。バビルサの営巣行動モチベーションは、体感温度を指標として議論でき、バビルサは寝屋に快適な温度環境を見出している可能性が強く示唆された。

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© 2019 日本野生動物医学会
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