日本野生動物医学会誌
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特集論文
アドベンチャーワールドにおける豚丹毒菌感染症の予防について
尾﨑 美樹
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2019 年 24 巻 4 号 p. 153-157

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抄録

 アドベンチャーワールドでは,1990年から2008年の間にバンドウイルカ,カマイルカ,オキゴンドウの3種の鯨類において豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)感染症が認められた。1990年から1998年までの5例は蕁麻疹型であり,2006年以後に発症した4例のバンドウイルカとカマイルカはいずれも発症後3~4日で死亡する敗血症型であった。敗血症型4例は血清型は調べていないが,いずれも血液から豚丹毒菌が分離された。この対策として,豚用不活化ワクチンを使用し2007年11月から接種を開始した。ワクチン接種開始後4ヵ月目にカマイルカ1頭が豚丹毒菌感染症で死亡しているが,それ以降は現在まで発症は認められずワクチン接種の一定の効果が得られていると考えられた。

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