日本野生動物医学会誌
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特集論文
新江ノ島水族館における豚丹毒菌感染症の現状と対策
寺沢 文男白形 知佳島森 麻衣
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2019 年 24 巻 4 号 p. 163-167

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抄録

 江の島水族館(1957~2003年)では,様々な種類の鯨類の豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)感染症が発生した。1960年には3種21頭が大量斃死し,解剖した人も感染した。1980年にはバンドウイルカ1頭が心内膜炎型で死亡した。1999年には同じくバンドウイルカが敗血症型で死亡し2型を分離した。その直後,やはりバンドウイルカが蕁麻疹型を発症しペニシリン系とテトラサイクリン系の内服薬の併用で治癒した。新江ノ島水族館(2004年〜現在)では,カマイルカ1頭が敗血症型で死亡した。また,状態不良のバンドウイルカ2頭の血液から2型と型別不能が分離され,後者では4ヵ月後に再び型別不能が分離された。江の島水族館および新江ノ島水族館を通して鯨類飼育を60年以上行っているが,現在でも豚丹毒菌感染症は散発的に発生が見られる。

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