日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
がん患者の栄養管理における静脈栄養の意義と実際
片山 寛次
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キーワード: NST, 緩和ケアチーム, 悪液質
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2018 年 33 巻 3 号 p. 835-842

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抄録

がんと診断された時から、緩和と栄養管理は治療と並行して進めるべきである。腸管が使えるなら生理的で免疫能維持に必要な経腸栄養(enteral nutrition;以下、ENと略)を優先すべきだが、病態や、環境によって静脈栄養(parenteral nutrition;以下、PNと略)の方が有利な場合があり、PN管理の技術が必要である。術前栄養スクリーニングの結果、必要なら入院前栄養管理計画を行う、経口補助が理想であるが不十分な場合、紹介医に依頼するが、我が国では末梢静脈栄養(peripheral parenteral nutrition;以下、PPNと略)が多く用いられる。検査絶食中のPPN、術後の栄養管理もENとPPNを中心に中心静脈栄養(total parenteral nutrition;以下、TPNと略)は必要ない。化学療法中・放射線治療中の栄養管理も重要で、できるだけ経口、ENで行うが、PNも有用である。悪性消化管閉塞症例の在宅緩和ケアでは在宅TPN(home parenteral nutrition;HPN)も用いられる。C/N比の低下、高血糖予防、PPNでは末梢血管維持のため高脂血症に注意しながら脂肪乳剤の側注が賞用される。PPNでは、TPNより水分負荷が高く、心不全、腎不全、高齢者や著しい低栄養症例では水過剰に注意する。HPNでは、地域で栄養・緩和に関する地域連携が必要で、在宅栄養パスや在宅緩和ケアパスの運用、地域でもクリーンベンチ設置によるHPNや持続皮下鎮痛薬剤の調整処方などが必要である。

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© 2018 日本静脈経腸栄養学会
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