2022 年 27 巻 2 号 p. 47-49
カワウソ類は世界中に13種が生息しているが,そのうち殆どの種が絶滅の危機に直面している。ユーラシアカワウソ(Lutra lutra)はユーラシア大陸から北アフリカまで広く分布している。しかしながら,同種は生息地の破壊,汚染や都市化によりIUCNのレッドリストでNT(近危急種)に指定されており,国際的な保全対象種となっている。東アジアにおいては,中国でユーラシアカワウソの分布域の減少が報告され,台湾では最後の個体群が金門島に残るのみである。しかし,韓国では国民の関心の高まりや保全努力により,2010年以降個体数の回復傾向が示唆されている。最後に,ニホンカワウソ絶滅および対馬の現況についても紹介を行う。したがって,ユーラシアカワウソの東アジアにおける生息状況は国や地域によって大きく異なると考えられ,同種のより効果的な保全活動のためには国際的なネットワークが不可欠である。