日本野生動物医学会誌
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原著
ジャワマングース(Herpestes javanicus auropunctatus)の血液学的特徴
小倉 剛松本 清司武藤 信一川島 由次
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1999 年 4 巻 1 号 p. 45-52

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抄録

奄美大島に棲息するジャワマングース(Herpestes javanicus auropunctatus)について, 生物学的な基礎資料を総合的に収集し, 野生動物の保護管理の一助とするために, 本種の血液および骨髄の一般臨床検査項目について測定を行い, 他の食肉目の動物と比較検討した。血液形態学的には, 本種の赤血球は食肉目の中で非常に小型で, 比較的数が多いことが特徴であった。白血球数は1.0〜3.9(平均2.2)×103/μlで, 同属のマングースや他の食肉目と比べて極めて低い値であった。また, 白血球の直径はリンパ球が約11.2μm, 好中球は12.5μm, 単球は14.2μmであった。大リンパ球はリンパ球の約20%を占めていた。これら3種の白血球と血小板の形態は, イヌやネコと大きな相違はなかった。血清生化学的検査値は, GOT, GPT, AIPおよびCPKの各活性値がイヌやネコと比べて高い傾向がみられた。またγ-GTPとT-Bilは活性値を示さない個体がみられた。骨髄細胞については, 有核細胞数が平均0.69×10^6μlで, 細胞分類では赤芽球系細胞の割合が高かった。形態学的には各系統の細胞ともイヌやネコと大きな相違はなかった。

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© 1999 日本野生動物医学会
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