日本野生動物医学会誌
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研究短報
北海道に飛来した5種のカモ類に認められた寄生線虫
中村 茂浅川 満彦
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2001 年 6 巻 1 号 p. 27-33

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抄録
カモ目の寄生線虫相を明らかにする目的で,北海道内の野生から採集されたカワアイサMergus merganser,クロガモMelanitta nigra,マガモAnas platyrhynchos,コガモA. crecca,オシドリAix galericulata,コハクチョウCygnus bewickiiおよびオオハクチョウC. cygnusの消化管を検索した。その結果,Pseudocapillaria mergi(宿主:コガモ,オオハクチョウ),Contracaecum sp.(宿主:カワアイサ),Amidostomum anseris(宿主:マガモ,コハクチョウ,オオハクチョウ),Tetrameres fissispina(宿主:マガモ)およびPhysaloptera sp.(宿主:コガモ)の5種の線虫が検出された。P. mergiA. anserisは日本初記録,T. fissispinaPhysaloptera sp.はそれぞれの宿主種で初めての記載であった。また,道内で広範に分布すること,および宿主域が広いことから,A. anserisはカモ目に普通の寄生虫であることが示唆された。
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