日本野生動物医学会誌
Online ISSN : 2185-744X
Print ISSN : 1342-6133
ISSN-L : 1342-6133
原著
死産したアジアゾウ(Elephas maximus)の血中ホルモン値の変化
浜 夏樹山田 亜紀子野田 亜矢子村田 浩一島田 幸宜芦田 雅尚石川 康司松尾 嘉則奥乃 弘一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 8 巻 2 号 p. 109-113

詳細
抄録
2002年1月11日,神戸市立王子動物園で飼育中の11歳の雌アジアゾウ(Elephas maximus)が死産した。同個体は1999年以降同居している雄との間で繁殖行動を示し,2000年, 2001年には腹部の膨満感や乳頭の腫脹が認められるようになった。そのため妊娠診断を目的に,2000年5月より月1回の割合でラジオイムノアッセイ法(RIA)による血清中のプロゲステロン(P),エストラジオール(E2)およびプロラクチン(PRL)の測定を行った。また1999年9月4日から週1回採血し凍結保存していた血清について,エンザイムイムノアッセイ法(EIA)によりPおよびE2の測定を行った。その結果2000年4月以降EIAによりPの持続的な高値が認められ,妊娠が推測された。またPが上昇する以前にはEIAによるE2には周期性を認めなかった。P値についてはRIAおよびEIAの間に正の相関係数が認められた(r=0.763,p<0.01)。なおRIAによるE2およびPRLは測定限界以下であった。EIAによるPの変動により推定された妊娠期間は640日であった。
著者関連情報
© 2003 日本野生動物医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top