九州歯科学会総会抄録プログラム
第66回九州歯科学会総会
セッションID: O-13
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高齢者の味覚異常と胃粘膜萎縮との関連
味覚異常と胃粘膜萎縮
*藤澤 聖高田 豊安細 敏弘園木 一男邵 仁浩吉田 明弘秋房 住郎粟野 秀慈濱嵜 朋子大住 伴子東 泉古賀 裕紀子西原 達次竹原 直道
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抄録

近年Helicobacter pylori(HP)感染に関連した胃外病変が注目されているが、味覚異常とHP感染との関連性に関する報告は見られない。今回我々は味覚とHP感染およびそれに続発する胃粘膜萎縮との関連について検討した。福岡県北九州市に在住し、市内2ヶ所の市立年長者研修大学校に在籍する高齢者231名(男性116名、女性115名)を対象にアンケート、味覚検査、血液検査を行った。味覚は濾紙ディスクを用いて全口腔法により味覚閾値を評価し、甘味、塩味、酸味、苦味のうち1味質以上の味覚が低下したものを味覚異常と定義した。HP感染の有無は血清抗HP IgG抗体価(EIA法)を、胃粘膜萎縮の有無はペプシノーゲン法を用いた。単変量解析では味覚異常は胃粘膜萎縮、H2受容体拮抗薬と関連を認めた。ロジスティック回帰分析による多変量解析では胃粘膜萎縮を有する者のオッズ比は1.87 (95%confidence interval; 1.03-3.40)と有意に味覚異常のリスクが増加した。一方で味覚異常とHP感染には関連は見られなかった。考察:高齢者の味覚異常の一因としてHP感染に続発する胃粘膜萎縮の存在が示唆された。

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© 2006 九州歯科学会
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