口腔はHPのreservoirとしてHP感染に関与すると考えられているが、口腔衛生状態・口腔ケアとHP感染の関連性を検討した報告は少ない。福岡県北九州市に在住し、市内2ヶ所の市立年長者研修大学校に在籍する高齢者231名(男性116名、女性115名)を対象にアンケート、口腔診査、内科検診を行った。なおHP除菌・胃切除の既往を有する者、無歯顎者は除外した。HP感染の有無は血清抗HP IgG抗体価(EIA法)を用いた。検診に参加した231名のうち、206名(男性101名、女性105名)で検討した。HP感染における各要因を単変量にて解析すると性、アタッチメントロスの最大値、1日当りのbrushingの回数に若干の関連を認めた。ロジスティック回帰分析による多変量解析では1日当たり3回以上brushingする群は1回以下の群と比較しオッズ比0.40 (95%confidence interval; 0.15-0.98)と有意にHP感染のリスクが軽減した。北九州在住の高齢者においてbrushingの回数が多いほどHP感染のリスクが軽減した。