関西医科大学雑誌
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聴覚神経細胞におけるchannelrhodopsin-2およびhalorhodopsinの応用
島野 卓史Fyk-Kolodziej Bozena朝子 幹也友田 幸一Holt Avril Genene
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2013 年 64 巻 p. 7-11

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抄録

緑藻類の一種クラミドモナスの眼点に分布する視物質ロドプシンchannelrhodopsin-2またはhalorhodopsinは光刺激を加えるとそれぞれ細胞を興奮,抑制性に活性化させることができる.我々はこのchannelrhodopsin-2およびhalorhodopsinをラットの背側蝸牛神経核に投与し,同部の神経細胞に発現するかどうか,また実際に光刺激により興奮させ電気的変化を起こし得るのか検討した.結果,遺伝子導入されたchannelrhodopsin-2およびhalorhodopsinが背側蝸牛神経核で発現することが確認でき,channel­rhodopsin-2が投与されたラットに光刺激を加えたところ,光波長依存性かつ光強度依存性に細胞内電位変化が引き起こされた.
本来光刺激を加えても電気的変化は起こりえない聴覚路の神経細胞をchannelrhodopsin-2やhalorhodopsinなどと光刺激を組み合わせることで活性化させることができ,今後これらを利用することで将来聴覚伝導路の興奮,抑制を人工的に光でコントロールできる可能性が示唆された.

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© 2013 関西医科大学医学会
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