関西医科大学雑誌
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Mst1欠損による増強された細胞障害性T細胞の機能と腫瘍発達の抑制
安田 鐘樹植田 祥啓小澤 まどか松田 公志木梨 達雄
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キーワード: 細胞障害性T細胞, Mst1, FoxO
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2017 年 68 巻 p. 9-15

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抄録

細胞傷害性CD8Tリンパ球は,ウイルス感染および腫瘍排除に対する免疫応答の主要な細胞である.分化したCTLは,パーフォリンおよびグランザイムBを含む多数の改変されたリソソームを有する.Mammalian ste-20 like kinaseであるMst1はリンパ球に豊富に発現しており,アポトーシス,増殖,細胞極性および細胞移動に重要な役割を果たす.

ここで私たちは,細胞傷害性T細胞応答および腫瘍抑制のためのMst1の新しい役割を報告する.

Mst1欠損細胞傷害性T細胞は,IFNγおよびグランザイムBの発現レベル上昇に関連する増強したT-bet発現を示した.

さらに,Mst1欠損細胞傷害性T細胞はin vivoで腫瘍増殖を抑制し,担癌マウスのoverall survivalを延長した.

このようにMst1は,腫瘍免疫療法のための潜在的な治療標的である.

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© 2017 関西医科大学医学会
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