関西医科大学雑誌
Online ISSN : 2185-3851
Print ISSN : 0022-8400
ISSN-L : 0022-8400
Interleukin-35はIgG4関連1型自己免疫性膵炎の制御性T細胞の分化を誘導し,Th2免疫応答を抑制する
伊藤 嵩志田中 敏宏岡崎 和一長沼 誠
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 73 巻 p. 13-17

詳細
抄録

1型自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis: AIP)は免疫異常が関与する難治性疾患である.AIPはTh2型の免疫応答異常が引き起こされていることが知られるが,依然病態解明がなされていない.AIPの病態に制御性T細胞(Tregs)の異常,ナイーブTregs(nTregs)と活性化エフェクターTregs(eTregs)の割合の変化が起こることを報告された.インターロイキン35(IL-35)は新規に発見された抑制性サイトカインであり,主にTregsから産生される.IL-35のAIPに対する関与は不明であり,本研究はAIPにおけるTregsならびにIL-35の関連を解析した.その結果,AIPは血漿中のIL-35が高かった.AIPでは末梢血から単離したnTregs/CD4陽性細胞比は低く,eTregs/CD4陽性細胞比は高かった.しかし,nTregs,eTregsそれぞれにおけるEBi3とIL-12p35の遺伝子発現は増加していなかった.膵組織ではAIPはEBi3陽性細胞数,IL-12p35陽性細胞数が多く,EBI3,IL-12p35二重陽性細胞数も多かった.IL-35はAIPの免疫異常,特にTh2免疫応答異常を抑制し,さらにTregsの分化を促進することで病態の制御に関わると考えられた.

著者関連情報
© 2022 関西医科大学医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top