関西医科大学雑誌
Online ISSN : 2185-3851
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73 巻
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 鈴木 健介, 岩井 大, 宇都宮 啓太, 河野 由美子, 小林 良樹, 尹 泰貴, 三谷 彰俊, 福井 研太, 酒井 遥, 谷川 昇, 神田 ...
    2022 年 73 巻 p. 1-5
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/04/08
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    分化型甲状腺癌は一般に予後良好であるが,進行癌ではしばしば局所再発や遠隔転移をきたし予後不良である.切除不能の進行分化型甲状腺癌の治療としては放射性ヨウ素(131I)内用療法,およびチロシンキナーゼ阻害剤が主であるが,前者は131I治療抵抗例が多く,後者は有害事象の発生率が高いことが問題となる.そこで我々は分化型甲状腺癌細胞とxenograftモデルマウスを用いて分子標的薬レンバチニブと放射線外照射の併用による相乗効果を検討した.レンバチニブと放射線外照射の併用療法は,in vitroにおいて顕著な細胞増殖抑制効果を示し,in vivoにおいてもヌードマウスに移植した腫瘍の増大を有意に抑制しその相乗効果が示唆された.細胞増殖マーカーKi-67を用いた蛍光免疫および免疫組織化学では併用療法群において腫瘍細胞のKi-67発現が低下していた.併用療法による相乗効果のメカニズムとして,アポトーシス誘導,G2/M期における細胞周期の停止,および腫瘍細胞内へのレンバチニブ取り込みの亢進が高い抗腫瘍効果に寄与している可能性が示唆された.レンバチニブと放射線(外照射および131I)の併用療法は,進行分化型甲状腺癌に対する強力かつ忍容性のある新たな治療戦略となることが期待される.

  • 赤川 友布子, 赤川 翔平, 辻 章志, 金子 一成
    2022 年 73 巻 p. 7-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/04/08
    ジャーナル フリー

    腸内細菌叢はヒトの腸管内で一定のバランスを保ちながら共存している多種多様な細菌集団である.近年,遺伝子解析技術の進歩に伴い腸内細菌叢の研究が加速しヒトの健康に果たす役割の重要性が明らかとなってきた.特に小児期の腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)はその後の疾患発症のリスクを上昇させるため,dysbiosisの予防や是正は,生涯を通じた健康維持や促進につながる可能性がある.腸内細菌叢の形成に影響を与える様々な因子の中でも,抗菌薬投与が腸内細菌叢に及ぼす負の影響は大きい.そこで筆者らは抗菌薬の長期投与が乳幼児の腸内細菌叢に及ぼす影響を明らかにするため,有熱性尿路感染症の乳幼児を対象とした検討を行った.その結果,治療量のセフェム系抗菌薬の投与は腸内細菌叢の多様性を著明に低下させ,耐性のLactobacillales目が腸内細菌叢のほとんどを占めるようになること,しかし投与中止後1–2か月で多様性は回復すること,その後少量の予防量(0.2 g/日)のST合剤の持続投与を行っても多様性は乱されず,腸内細菌叢に及ぼす影響は小さいことが明らかとなった.そしてST合剤の少量持続投与中,尿路感染症の起因菌が属するEnterobacteriales目の構成割合が抑制されていたことから,ST合剤の少量持続投与は有熱性尿路感染症の再発予防に有効かつ安全な治療であると考えられた.

  • 伊藤 嵩志, 田中 敏宏, 岡崎 和一, 長沼 誠
    2022 年 73 巻 p. 13-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/04/08
    ジャーナル フリー

    1型自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis: AIP)は免疫異常が関与する難治性疾患である.AIPはTh2型の免疫応答異常が引き起こされていることが知られるが,依然病態解明がなされていない.AIPの病態に制御性T細胞(Tregs)の異常,ナイーブTregs(nTregs)と活性化エフェクターTregs(eTregs)の割合の変化が起こることを報告された.インターロイキン35(IL-35)は新規に発見された抑制性サイトカインであり,主にTregsから産生される.IL-35のAIPに対する関与は不明であり,本研究はAIPにおけるTregsならびにIL-35の関連を解析した.その結果,AIPは血漿中のIL-35が高かった.AIPでは末梢血から単離したnTregs/CD4陽性細胞比は低く,eTregs/CD4陽性細胞比は高かった.しかし,nTregs,eTregsそれぞれにおけるEBi3とIL-12p35の遺伝子発現は増加していなかった.膵組織ではAIPはEBi3陽性細胞数,IL-12p35陽性細胞数が多く,EBI3,IL-12p35二重陽性細胞数も多かった.IL-35はAIPの免疫異常,特にTh2免疫応答異常を抑制し,さらにTregsの分化を促進することで病態の制御に関わると考えられた.

  • 鈴木 千琴
    2022 年 73 巻 p. 19-23
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/04/08
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    排泄が自立する時期は,幼児の排泄の健康問題が生じやすく,養育者が子どもの対応に困難を抱えることがある.本研究は,幼児の自律的な排泄への移行に伴う幼児の排泄の健康問題や養育者の育児上の困難を予防・早期発見/介入するために,幼児が学ぶプロセスに着眼し,看護介入プログラムを開発することを目的とした.

    研究デザインは事例研究を選定し,看護の中範囲理論であるMeleisの移行理論を基盤とした.データ収集は縦断的な半構成的面接法で行った.分析は,事例内分析を実施後,事例間分析を実施した.対象児と養育者いずれか,もしくは双方が排泄の自立のプロセスに課題がある事例には,移行理論に基づき役割補完を行う看護介入を実施したうえで,評価を行った.

    研究対象者は22組の母子で,子どもの月齢は20か月から60か月であった.分析の結果,幼児の自立に向けた排泄の移行は,【共有される世界で自己の身体を知る】【繰り返す中で自分のコツを掴む】【生活の中でタイミングを捉える】の3つの学びを通して促進された.看護介入は22例中8例に実施した.母親の子どもへの対応に課題があった事例は母子で生じたずれが母子のみでは修正できなかった.子どもに課題があった事例は排便の感覚に問題があった.看護介入により,母親が子どもとのずれに気づき,子どもへの対応性が高まったり,排便の感覚が分かることで,子どもが排便を自分事として取り組むようになった.

    本研究で,幼児は排泄する身体を感じ,排泄するために身体を使い,社会的に承認される排泄方法がわかり,それらを統合することで排泄が自立に移行していくことが明らかになった.これらの学びの視点を補完する看護により,幼児は排泄を自分事として取り組むようになったり,養育者の子どもを捉える視野を広げることにつながり,幼児の学ぶ力が育まれる環境が整った.本研究は幼児の自律的な生活に向け,幼児がどのように環境と相互作用しながら学び,発達的移行を遂げていくか,また,養育者が子どもの発達的移行に関与する方略について示唆を得た.

  • 金田 浩由紀, 梶原 美絵, 眞鍋 香余子, 四方 美由紀, 中村 奈緒美, 嶽北 佳輝
    2022 年 73 巻 p. 25-31
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/04/27
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    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い,COVID-19患者のインシデントも多く発生するようになったが,流行前とはインシデントの種類や要因に異なる傾向があるように感じられた.今回,インシデント報告システムからCOVID-19患者におけるインシデント報告と死亡報告についてまとめ,それらの特徴について考察を加えた.対象期間は2020年3月1日から2021年5月31日までとした.COVID-19患者におけるインシデント報告は計149件であった.問題の種類として処置・手術(33%),チューブ類関係(14%),注射・点滴(10%)が多かった.問題の要因として観察不足(32%),手順の非順守(21%),確認不足(14%)が多かった.COVID-19の病態に由来するインシデントと,COVID-19感染対策に由来すると考えられたインシデントに分けられた.死亡報告は78例の報告があり,80歳以上の高齢者に多かった.

  • 2022 年 73 巻 p. 33-34
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー
  • 2022 年 73 巻 p. 35-50
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー
  • 2022 年 73 巻 p. 51-97
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/15
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