抄録
我が国は, 世界の中で最も自然災害を受けやすい国の一つであり, 地震, 火山, 降雨, および降雪, いずれをとっても世界で最も激しい環境条件である。しかも, 国土の7割は山地であることから, これらを直接・間接の原因とした地すべり, 山崩れが多発し, 人々はそれとともに生活してきた。結果的に, 砂防3法と2000年の土砂災害防止法を中心とした法的枠組みが整備されてきた。それとともに, これらに関連した研究も古くから進められてきた。本論では, 1919年の脇水鉄五郎に始まる代表的な論文をレビューして地質・地形的な研究の発展をたどり, また, 近年の技術開発がもたらした研究転機を踏まえて今後を展望した。これらの技術開発として, 地すべりに伴って破砕した岩石も不撹乱で採取することを可能にした高品質コア採取技術, ボアホールテレビカメラ, 航空レーザー測量, また, DEM (数値標高モデル) を用いた広域的地形解析技術をとりあげた。