日本地すべり学会誌
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論文
物理探査を併用した地質構造と地下水流動システムの推定
―秋田県荒瀬川地すべりの事例―
茂木 俊古谷 尊彦河戸 貴善田村 宏一工藤 信仁平塚 賢二郎
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2018 年 55 巻 3 号 p. 105-118

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抄録

 地すべり機構を把握し,効果的な地すべり対策を行うためには地質構造と地下水流動システムの解明が重要である。しかし地表踏査と限られたボーリングによる地質調査では明らかに限界がある。このため,平成12年に概成し,最近地すべり滑動が見られるようになった流れ盤の荒瀬川地すべり地を事例として,地表踏査とボーリング調査に加えて物理探査を併用した調査を実施した。

 その結果,次の4点が明らかとなった。①地表踏査で把握された断層や推定断層に対応する地層の不連続がボーリング調査で確認された。②物理探査による物性値の分布から,断層とそれに規制された地下水の分布を空間的に推定することができた。③地すべり地の地下水流動を規制するこれらの断層分布は,旧阿仁鉱山の鉱床形成時の応力場が反映されていると推定された。④これらの結果は,物理探査の併用の有効性が示され,地すべり対策工の設計に活用できる。

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© 2018 公益社団法人 日本地すべり学会
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