2018 年 55 巻 6 号 p. 299-304
和歌山県では平成23年 (2011) の紀伊半島大水害で斜面崩壊や河道閉塞の結果によって甚大な被害が発生し, 土砂災害発生時の住民の適切な避難行動がクローズアップされることになった。和歌山県の過去の大きな災害では昭和28年 (1953) 有田川水害で旧花園村 (現かつらぎ町) において多発した斜面崩壊や河道閉塞の決壊によって甚大な被害が発生したものがあるが, 地区によっては住民の速やかな避難行動により命を守った事例がある。本研究では, 近年のような警戒避難情報が無い中で中山間地域の住民がどのような考えで避難行動を起こしたかに着目し, 体験者へのヒアリングを行った。この結果, 土砂災害と避難場所の知識の有無, 日頃からのそれら知識の共有, 豪雨時の迅速な避難が被害の軽減にがったことが分かった。