日本地すべり学会誌
Online ISSN : 1882-0034
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55 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論説
  • -伝承から災害地を考える-
    笹本 正治
    2018 年55 巻6 号 p. 273-281
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

     災害地には災害に対処する文化が存在する。災害が頻発する地域では文書が残りにくいので, 伝説や言い伝え, 地名などによって, 災害の事実を確認する必要がある。本稿では赤牛・蛇や龍の伝説, ことわざなどから災害に襲われる可能性のある地域を認識し, 防災意識を高めたい。

  • 廣田 清治
    2018 年55 巻6 号 p. 282-285
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

     広島県福山市には, 江戸時代の備後福山藩によって構築された砂防堰堤“砂留 (すなどめ)”があり, 補修されながら今日も渓流保全機能を有している。現在, それら砂留の周辺は環境整備とともに市民の憩いの場となっており, 周辺の環境整備がなされている。環境整備にはボランティア活動により, 森林保全を行うことで斜面の安定に係る維持管理が継続されている。本稿は, このような福山市・堂々川周辺で取り組まれている斜面環境全体の保全活動から, 長期に渡り扱われてきた歴史的構造物及びその周辺環境の管理のあり方を学び, “歴史的構造物の維持管理”を斜面維持管理の活動という視点で考察した。

  • -認知心理学の知見を防災減災に応用する-
    菊池 聡
    2018 年55 巻6 号 p. 286-292
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

     一般市民が災害リスクを正しく認識して適切な対処行動をとることができるか, という点は, 災害にかかわる心理学の重要なテーマのひとつである。特に, 発災時に迫り来る危険を適切に判断できず, 避難や対策が遅れて大被害につながる例は多く知られている。人の思考や判断過程における認知情報処理を扱う心理学の諸研究からは, 緊急時にこうした不適切な意思決定を引き起こす認知バイアスが数多く指摘されている。本稿ではリスク認知心理学の観点から, 正常性バイアスをはじめとした災害時の認知バイアスの性質について概観した。その上で, 防災減災のための施策においては, こうした認知バイアスの特性を考慮した計画立案とリスクリテラシーの向上が重要であることを提言した。

研究ノート
  • 西岡 恒志, 筒井 和男, 小脇 邦雄, 榎原 伴樹, 坂口 武弘, 木下 篤彦, 田中 健貴
    2018 年55 巻6 号 p. 293-298
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

     近年, 土砂災害から住民の早期避難を促すための警戒避難情報の充実化が図られている。一方, 避難を促す消防職団員は, 豪雨時には浸水被害など土砂災害以外にも気を配る必要があり, 避難誘導が後手になる可能性がある。本研究では, 平成23年那智川水害時の消防職団員の対応と警戒情報発令時刻の関係を整理するとともに, 今後の土砂災害時の対応や避難訓練のあり方を検討するために消防職団員へのヒアリングを実施した。地域の土砂災害の危険箇所を把握し, その地域に即した避難計画を作成し, 避難訓練を行うこととで災害時にはすみやかに避難誘導できる可能性があることが分かった。

  • 西岡 恒志, 榎原 伴樹, 坂口 武弘, 木下 篤彦, 田中 健貴
    2018 年55 巻6 号 p. 299-304
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

     和歌山県では平成23年 (2011) の紀伊半島大水害で斜面崩壊や河道閉塞の結果によって甚大な被害が発生し, 土砂災害発生時の住民の適切な避難行動がクローズアップされることになった。和歌山県の過去の大きな災害では昭和28年 (1953) 有田川水害で旧花園村 (現かつらぎ町) において多発した斜面崩壊や河道閉塞の決壊によって甚大な被害が発生したものがあるが, 地区によっては住民の速やかな避難行動により命を守った事例がある。本研究では, 近年のような警戒避難情報が無い中で中山間地域の住民がどのような考えで避難行動を起こしたかに着目し, 体験者へのヒアリングを行った。この結果, 土砂災害と避難場所の知識の有無, 日頃からのそれら知識の共有, 豪雨時の迅速な避難が被害の軽減にがったことが分かった。

  • -アウトリーチ活動で市民との接点を求めて-
    守屋 資郎, 今野 隆彦
    2018 年55 巻6 号 p. 305-310
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

     自然災害に対する防災では, 市民に早期に適切な行動を起こさせることが必要である。しかし, そのための地域知に関係する情宣や避難情報発信などには課題が多く, このようないわば社会的課題の解決を図るために何ができるのか, 役に立つのかという視点に立ってのNPO活動を展開してきた。そして, 市民の防災力向上には防災という学際領域での多元的なネットワークが不可欠で, そこでの知見こそが重要であることを強調したい。

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