日本地すべり学会誌
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研究ノート
亀裂間隔と動摩擦角が崩壊岩塊の到達距離に及ぼす影響に関する研究
―道路沿いの亀裂性岩盤斜面を対象とした数値解析―
倉岡 千郎
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2019 年 56 巻 2 号 p. 77-86

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抄録

 崩壊土砂の到達距離 (L) に関する研究は, 古くから行われており斜面勾配, 動摩擦係数 (または動摩擦角), 斜面高 (H), 崩壊土量 (V) からLを推定する方法が提案されている。しかし, 亀裂性岩盤の斜面崩壊と細かい土粒子からなる斜面が崩壊した場合のLの違いについては研究例が少なく, 崩壊岩塊のLについては, まだ研究の余地があると考えられた。本研究では, 岩盤斜面が崩壊して道路のような水平面に岩塊群が堆積する挙動を対象とし, 特に亀裂間隔 (JS : Joint Spacing) と動摩擦角 (α) がLに与える影響を検討した。調査から得られるデータが一般にJSであることに着目し, 影響因子としてブロックの大きさではなくJSを用いた。検討方法として, 個別要素法に分類される2次解析コード (UDEC v.6.00) を用いて亀裂を直接モデル化し, JSとαがLに与える影響を調べた。解析結果から得られたHとLの関係は, 実データに見られるHとLの関係と整合性があり, αの影響も既往の知見と同様に影響が大きいことが示された。また, 計算時間の限界のためJSは一定以上に小さくできなかったが, JSは影響因子として有意であることがわかり, JSが大きくなるにつれてLが小さくなる傾向が認められた。

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© 2019 公益社団法人 日本地すべり学会
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