抄録
近年, 地すべりによる斜面の崩壊を円形スベリ計算で解析する傾向が強くなっているようであり, またこれに対して疑問をもつ人が非常に少ないようでもある。地すべり箇所の多くは無限長の単一斜面に近い地形であり, このような場合には, 円形スベリに対する安全率はスベリ面の半径が大きいほば低くなり, 極限的には, 直線すべりに対する安全率が最小値となる。よって, 地すべりによる斜面の崩壊は直線スベリによって解析しなければならないケースが圧倒的に多いはずである。この点を解明しておかなければ, 防止対策工の設計計算は正鵠をはずれ, 技術的に評価の低いものとなる。この小論は, 純然たる土質力学計算の見地から, 地すべりによる斜面の崩壊を再検討したものである。