抄録
モデル砂層内において地下水面を平行に上昇させる時, 地下水面近辺で生じるすべりがくり返し観察されたが, このすべりはモール・クーロン式では説明できないと思われ, かつパイピング現象によっても説明できない。
この水面でのすべりの原因を調べる場合, 砂層内のセン断力分布は比較的単純であり,(1) すべり深さ (ほとんど2~4cm) に対し斜面長が150cmあり, 十分長い斜面と考えられ,(2) 側面のマサツは砂層の幅を変えても常に水面でのすべりが生じたことから, すべりの発生機構を変えるものではないと考えられる―ことからセン断応力には疑う余地は少なく, 研究の目標はセン断強度分布がモール・クーロン式から推定されるものと異なる分布をしているのではないかという点に絞られる。モデル砂層内のセン断強度分布を調べることは一般に認められているどの試験法でも困難であるが, 強いて求めればベーンテストがもっとも適していると考えられる。
砂質土に対してベーンテストを用いる場合, 粘土に対する試験と異なり, “排水条件” でセン断が行われるためセン断面上の有効応力がセン断中に変化する。したがってセン断強度の算定が困難であり, 砂質土に対するベーンテストは一般には行われていない。
しかし上記の強い必要性から砂質土に対するペーンテストの解釈を試み, A.Farrentlが1960年に試みた研究をもとにHillの塑性学に述べられている一般塑性材料内でのすべり線の曲りとその線上でのセン断応力, 垂直応力の関係を用いて本文の (10) 式の関係を導いた。そしてこの式を現在利用できる限られたデータで検討したところ, 定性的にも定量的にもほぼ適正と考えられる値を得た。