抄録
北海道積丹半島の海岸部では, 新第三紀中新世中期~ 鮮新世の火砕岩からなる急崖斜面が広く発達している。そこでは, 1996年の豊浜トンネル付近の岩盤崩落事故をはじめとして, 少なからぬ数の岩盤斜面崩壊が発生している。それらの急崖を構成する火砕岩類は, 工学的な分類上不均質軟岩に相当する岩盤であり, 構成岩片・粒子の間隙や割れ目を充填する産状のスメクタイトを広く含有することで特徴づけられる。すなわち, このスメクタイトのミクロな分布特性は, 水に富む風化環境のもとで, 火砕岩の構成岩片・粒子の接合性や固結度が関係する物理的性状変化を促進させる重要な要因であることが示される。そして, この火砕岩の特性は, 急崖斜面における岩盤亀裂の伸長など岩盤崩壊の直接的原因に結びつくものと理解することができる。