日本地すべり学会誌
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地すべり抑止杭の合理的な最大抑止力評価のための簡易設計支援システム
若井 明彦鵜飼 恵三蔡 飛田中 潔
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2006 年 42 巻 5 号 p. 398-408

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抄録

任意の地すべり土塊中の抑止杭の最大抑止力とそれが発揮される瞬間の杭頭変位量の大きさについて, 地すべり土塊の形状や杭の施工位置, 地盤の物性などに基づいて系統的に調べることは, 実務上の意義が極めて大きい。これは地すべり対策事業のコストダウンと安全性向上に直結する。本研究では, 設計で利用されうる簡易な地すべりモデルを対象にして, 三次元弾塑性FEMに基づくパラメトリック・スタディが実施される。各解析ケースにおいては, 地すべり抑止杭の最大抑止力とその時の杭頭変位量が予測され, これらの値と各種条件との間の関係について考察がなされる。また, 現行設計法に基づく解との比較から, その留意点についてもあわせて検討がなされる。最後に, 三次元弾塑性FEMによる解析に要する時間コストを節約するため, FEMの結果を学習させたニューラル・ネットワークが構築され, これが実務において利用される方向性が示唆される。ニューラル・ネットワークに基づく最大抑止力の予測は極めて容易であり, 計算プログラムが非常に軽いため, ネットワーク・コンピューティングを前提とした設計システムの開発の可能性が示される。

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© 社団法人日本地すべり学会
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