抄録
要旨:歩行時に足底に作用する内外側・前後方向の力学的負荷は皮膚組織の微細な損傷や胼胝形成の原因となることが指摘されている.足底胼胝形成糖尿病患者は足部潰瘍形成リスクが高いとされているが,内外側・前後方向の力学的負荷を定量的に測定した報告は少なく,足底へ及ぼす影響については明らかになっていない.そこで本研究では,胼胝形成糖尿病患者6 名(DM 胼胝群),足底胼胝のない糖尿病患者7 名(DM 群),対照群7 名(CON 群)を対象に,歩行時の力学的負荷(内外側・前後・垂直成分)を測定した.1 歩行周期における内外側成分の最小値と最大値の差(PtP)は,DM 胼胝群がDM 群,CON 群と比べて有意に大きく(72.9N vs 57.3N and 39.9N, p<0.05),胼胝形成糖尿病患者においては,神経障害がみられなくても内外側方向の力学的負荷が大きいことが確認された.